店名の“さんろくまる”は、「生産者と消費者との“360度”のつながりを大切にしたい」という思いに由来。料理の素材もワインも、できる限り山形県産を選ぶことをモットーにしています。
提供しているのは、ランチ・ディナーのいずれも完全予約制のコースメニューのみ。山形のブランド米・つや姫をはじめ、やまがた地鶏や庄内豚など山形の食材がふんだんに使われ、赤根ほうれんそうや舟形マッシュルーム、小笹うるいや堀込せりなどの珍しい野菜も登場します。
どの料理にも昆布やかつおなどから取っただしが効いていて、口に運ぶたびに上品な香りと旨みがふわりと広がります。だしによって素材の持ち味が引き出され、ひと皿ひと皿が個性豊か。素材の味や食感を確かめながら、じっくりと味わいたい料理ばかりです。
コースメニューは日替わりなので、訪れるたびに新たな素材に出会えるのも魅力のひとつ。
店内にはゆったりとテーブルが配され、コンクリート打ちっぱなしの壁に古い窓ガラスや配管などをあえて残した、ヴィンテージ感のあるインテリア。落ち着きのある空間ですが、スタッフの方々はとても気さくなので、特別な時間をリラックスして過ごせそうです。
料理に使う食材だけでなく、ワインも山形県産を中心にラインナップ。料理とワインのマリアージュを楽しむなら、「ペアリング」がおすすめです。
3杯1,944円~で、オーナーがソムリエの知識を生かしてメニューにぴったりのワインをセレクト。味の濃淡や温度など、料理とワインとの相性を考えて選んでもらえるので、食事がぐっと味わい深くなります。
たとえば、上山市にあるタケダワイナリーの「サン・スフル」は、発酵中のワインを瓶に詰め、そのまま瓶の中で発酵させたワイン。天然のきめ細やかな泡とフレッシュな酸味で、あっさりした味付けの料理によく合います。
一方、こってりした味付けの料理には、ユニークな名前の「まぜこぜワイン」がぴったり。南陽市にある酒井ワイナリーがつくるさまざまなワインの澱(おり)をブレンドし、その上澄みをボトリングしたワインで、華やかな香りと果実味あふれる飲み口が特徴です。
ペアリングは、ディナータイムはもちろんランチタイムでも楽しめますよ。
2階には、日本ワインと世界のナチュラルチーズを扱うショップ「YAMAGATTA」も併設。「つくり手の顔が見えるワインを提供したい」と、オーナー自ら全国各地のワイナリーに赴いて選んだワインがずらりと並んでいます。1階で食事をする際、セラーから気になるワインをオーダーすることもできますよ。
さまざまな産地に足を運ぶうちに、オーナーは「自分の手でワインをつくってみたい」という思いが強くなり、上山市に畑を借りてぶどうの栽培も行なっているそう。来年にはオリジナルワインを提供する予定です。
チーズは世界各地の20~30種類ほどを取りそろえます。自家製チーズの製造もしていきたいと、店内に小さな専用工房も設置。これからの展開に目が離せません。
山形ならではの旬の食材と種類豊富なワインを存分に味わえる、「ワイン&ダシ場 さんろくまる」。地元の食材をおいしく味わいながら、親子で食に関する理解を深められそうです。自分たちの住んでいる地域の新たな魅力に気付くきっかけにもなるかもしれませんね。