江戸時代から漁港として栄えていた閖上(ゆりあげ)は、すぐそばの貞山運河を使い仙台城下へ海産物を運んでいたという歴史があります。42年前、そんな閖上地区で自然発生的に生まれたのが「ゆりあげ港朝市」でした。
最初は海産物中心でしたが、お客さんが増えるにつれ野菜や日用品など、どんどん増えていったそう。さらには、大盛りの水餃子や天ぷらパンなどの名物グルメも誕生し、賑わいを増していきました。次第に「ゆりあげ港朝市」の評判が広がり、県外客もわざわざ足を運ぶように。しかし2011年3月の東日本大震災で、海に近い閖上地区は津波により壊滅的な被害を受けてしまったのです。
震災後の3月27日、名取の大型商業施設の駐車場を借り、なんとか集めた品物で朝市は仮の姿で復活。震災で離ればなれになっていた閖上地区の住民たちの交流の場にもなりました。
回を重ねるごとに「閖上の朝市を再開させよう」という気運が盛り上がり、多くの苦難を経て、ついに2013年12月に「ゆりあげ港朝市」が復活!朝市に隣接して、カナダ政府の支援により建てられた「メイプル館」には、地元の飲食店やカフェほか、東北の産物を販売する売店も設けられました。
「ゆりあげ港朝市」には、「せっかく来てくれたのだから楽しんでもらいたい」と、震災前にはなかった“楽しみ”がいくつかあります。そのひとつが「浜焼き」です。
朝市の裏の広場には、無料で使える炉端焼きの台が置かれ、朝市で買った新鮮な魚介を焼いて食べられます。すっかり定着した「浜焼き」に加え、鮮魚店では旬の魚介4~5種類をひと皿に盛ったセットなども販売。
そのほかにも、約50軒の常設店のなかには「ビッグママ」の天ぷらパン、「豊華」の水餃子、「ささ圭」の笹かまん棒など、気軽にテイクアウトできるファストフードがたくさんそろいます。買うだけでなく、朝市内で味わえるグルメが充実していることもあり、朝食をここで楽しむ人も少なくありません。
朝市のピークとなる朝7:00~8:00を過ぎてからも、お客さんに楽しんでもらう何かが必要だという考えから、再開後に生まれたのが「セリ市」です。
朝10:00、セリのはじまりを知らせる鐘の音が市場中に響き渡ります。魚介や野菜、果物、加工品などが破格値で次々に登場し、セリ人が「300円!」「1,000円!」と威勢のいい声を上げます。
一般客は、欲しい品が出てきたら事前にもらえる番号の書かれたうちわをすばやく上げるだけ。「落札!」となったら、セリの終了後、自分の番号札を見せ、代金と商品を引き換えます。
小さなお子さんでも楽しく参加できるイベントとして人気です。
早朝からマイカーで多くの人がやってくる「ゆりあげ港朝市」。グルメや買い物だけでなく、浜焼きやセリ市、ライブなども開催しています。食のエンターテイメイントのような朝市に、今後も注目です。
メイプル館にはきれいで広いトイレがあり安心です。
メイプル館にはテーブルやイスが完備されていて、落ち着いて食事ができます。
揚げ物やスイーツなど、お子さんに人気の屋台グルメが充実しています。