山形市の北に隣接する天童市。この地では藩政時代、武士の内職として将棋の駒づくりが奨励されました。将棋は兵法に通じるため、武士の面目が保てる手仕事だったためです。現在でも、全国の将棋駒の約95%は天童で生産されています。
そんな将棋の街で、1956年から続く人気の行事が「人間将棋」。毎年4月上旬から5月初旬にかけて行なわれる「天童桜まつり」のメインイベントで、太閤秀吉が小姓や腰元を駒に仕立てて将棋の野戦を楽しんだという故事に由来する、華やかな時代絵巻は見応えがあります。
2018年の人間将棋は、4月21日(土)、22日(日)の両日、約2,000本の桜が咲く天童公園がある舞鶴山の山頂で行なわれます。会場には階段つきの芝生の斜面があり、見物客は桜の花を背景に、プロ棋士の対局に応じて盤面を動く甲冑姿の武将や艶やかな腰元の姿が見られます。
当日は交通規制があり、車で山頂までは行けませんが、天童市役所、道の駅 天童温泉、JR天童駅、市スポーツセンターなどからシャトルバスが運行。運営協力金100円で利用できます。
両日とも人間将棋の開始は13:00から。入陣、演舞のあとに、いよいよ解説つきのプロ棋士の対局がはじまります。2018年は、外国人女性初の棋士、カロリーナ・ステチェンスカ女流1級も来場予定です。白熱の戦いは勝利した駒武者たちの勇ましい勝鬨(かちどき)で終了。将棋ファンには、その後のプロによる指導対局や百面指しも好評です。
会場への入場はベビーカーでも可能です。将棋だけでなく、地元の園児たちによるかわいらしい「ニャー将棋音頭」や、「天童花駒踊り」の披露などもあり、小さなお子さん連れのファミリーも楽しめますよ。
天童桜まつり期間中の4月14日(土)~5月6日(日)は、天童市を流れる倉津川の両岸約750メートルの桜並木がライトアップ。特に人間将棋の開催日とその前日、4月20日(金)~22日(日)の3日間には「しだれ桜の夕べ」が行なわれ、花嫁姿の女性が練り歩く古式ゆかしい「むさかり行列」やさまざまな花見屋台でにぎわいます。昼は人間将棋、夜は幻想的な夜桜の見物を満喫しましょう。
人間将棋の両日は、天童ならではの特産品を販売するコーナーも多彩にそろいます。伝統工芸品の天童駒の製作実演販売や、日本将棋連盟のプロ棋士のサイン入り色紙や湯飲み、天童の観光キャラクター「天童こま八」の各種グッズも販売されます。また、駒づくり体験や自由対局コーナーもあるので、散策しながらのぞいてみては。
4月22日(日)には桜餅の実演販売や地元の銘菓が試食できるお茶席が設けられます。特に人気なのが、無料でふるまわれるおそばコーナー。1,500食限定で、なくなり次第終了なので早めにゲットしましょう。
風情あふれる温泉街でもある天童の街なかには、橋の欄干や道路の敷石など、いたるところに将棋のモニュメントが見られます。人間将棋の会場となる舞鶴山以外でも、道の駅 天童温泉の「わくわくランド」では、多彩なステージイベントやフリーマーケットが行なわれます。
中学生プロ棋士の活躍で注目を集めている将棋。歴史ある将棋の街を訪ねて、満開の桜と藩政時代を思わせる人間将棋をゆっくり観賞してはいかがでしょう。
約2,000本の桜が咲く舞鶴山で繰り広げられる人間将棋は圧巻の光景です。
芝生の上で気持ちよく野外観戦できます。ベビーカーでの入場もOKです。
山形特産のそば1,500食が無料でふるまわれ、天童銘菓の試食もできます。
会場 山形県天童市城山 天童公園(舞鶴山山頂)、荒天時は天童市市民文化会館
電話番号 023-653-1680(天童市観光物産協会)
開催日時 2018年4月21日(土)・22日(日)13:00~14:30
駐車場 あり(300台、天童市役所周辺駐車場)