北に鳥海山がそびえ、東西に母なる最上川が流れる戸沢村。この村に、山形の有名な巨木スポットとしてまずその名が挙がる「幻想の森」があります。
国道47号を新庄から酒田方面へ向かうと、左側に「幻想の森」を記された小さな看板が現れます。左折し、林道を車で約15分。未舗装で道幅が狭い場所もあるので、ゆっくりと車を走らせましょう。
駐車場に降りたつと、目の前にはうっそうと茂る巨木の森が。ここからは、散策路に沿って歩みを進めます。
森のなかに入ると、そこかしこにそびえる土湯杉(神代杉)の迫力あふれる姿に目を奪われます。どっしりと太い幹や枝は湾曲して折れ曲がりながらも、まっすぐと空に向かって伸び上がっています。
生命力にあふれる巨木たちは、樹齢1,000年を超えるものもあり、大きいものでは樹高約30メートル、幹周りは約12~13メートルになるほど。
静寂に包まれた森のなかで聞こえてくるのは、鳥のさえずりと枝や葉がこすれあうサワサワとした音だけ。耳を澄ませば、おとぎ話で読んだような森の老木たちのおしゃべり声が聞こえてくるかも…?まるで異世界に迷い込んだような不思議な気持ちにさせてくれます。
鮭川村ののどかな田園風景のなかに、ぽつんと現れる杉の巨木「小杉の大杉」。その姿がアニメ『となりのトトロ』に登場するトトロに似ていることから、「トトロの木」と呼ばれ親しまれています。
「小杉の大杉」までは、付近の駐車場に車を停め、そこからは歩いて農道を進みます。周辺は私有地のため、畑や田んぼに足を踏み入れてしまわないよう気を付けましょう。
推定樹齢は1,000年以上。樹高約20メートル、根回り約6.3メートル、枝がもっとも茂るふっくらとした部分は約17メートルにもなり、村の天然記念物に指定されています。
木の根元が2つに枝分かれしていることから、地元では古くから「夫婦杉」としても親しまれる「小杉の大杉」。縁結びや子宝のご利益があると言い伝えられ、木の根元には小さな祠があります。
なんといっても目を引くのは、かわいらしいシルエット。緑がこんもりと生い茂り、てっぺんのとんがりが2つの耳のように見える姿は、トトロそのもの!トトロのようなシルエットを見るためには、どの場所から眺めるかも重要なポイント。とんがりが2つ並んで見える角度を探しながら、ゆっくりと眺めましょう。
最上町の北部・東法田(ひがしほうでん)地区。杉林の道を登りつめた奥にそびえるのが、「東法田の大アカマツ」です。急斜面にどっしりと根を下ろしていて、下から巨木を見上げるような体勢になるため、迫りくるような迫力に圧倒されます。
推定樹齢は500~600年。8メートル以上ある幹周りは、マツ種として日本一の太さを誇ります。
幹にはゴツゴツとしたこぶがいくつも浮き上がり、巨木が重ねてきたときの流れを物語っているかのよう。その威厳あふれる姿から、地元では「山神様の大松」とも呼ばれていて、根元には石碑が祀られています。
真室川町の女甑山(めこしきやま)山麓にたたずむ「女甑山の大カツラ」。JR大滝駅から車で30分ほどの前森山林道終点に車を停め、さらに山道を歩いて約20分の場所にあります。
緑深いブナ林に囲まれ、周囲にはカツラの大木が何本か見つけられますが、「女甑山の大カツラ」の大きさは圧倒的。樹齢1,000年以上、高さ約25メートル、幹周り約13.4メートルの大きさは日本最大級で、林野庁による「森の巨人たち百選」にも選定されています。
かつてこの地域のマタギは、狩猟の際に必ずこの巨木に立ち寄り、入山の許しを乞うていたと言い伝えられています。目的地までは、案内標識と登山者の踏み跡でできた道を頼りに進むため、お子さん連れや初心者の方は、JR大滝駅から出発するガイドを予約しておくのがオススメですよ。
今なお緑をたたえ、静かにときを刻み続ける最上エリアの巨木たち。その生命力あふれる姿に出会う旅へとおでかけしてみませんか?
目印の看板から「幻想の森」までは、細くくねくねと曲がった林道が続きます。対向車が来たときのためにも、運転はゆっくり慎重に。
森のなかには散策路が整備されていて、ゆっくり歩いて1周20分ほど。足元にはウッドチップが敷かれ、歩きやすくなっています。
山深い場所にあるので、雪の降る冬季は閉鎖。訪れるなら、緑豊かな春から紅葉シーズンの秋までに。
電話番号 0233-72-2110(戸沢村観光物産協会)
見学時間 見学自由(冬季は積雪のため通行不可)
駐車場 あり(周辺の駐車スペースを利用、積雪期の除雪なし)