JR盛岡駅から徒歩10分ほど。趣ある街並みの「材木町商店街」に、「光原社」はあります。店内に並ぶのは、焼き物、鉄器、ガラス工芸品といった手仕事品の数々。眺めていると、どこか懐かしく心があたたかくなります。
光原社は、テーマの異なるいくつかの店舗に分かれ、ほとんどの建物が中庭でつながっています。クラシカルな喫茶店「可否館(こーひーかん)」、世界のアクセサリーや衣類を集めた「カムパネラ」、宮沢賢治の資料館「マヂエル館」など、さまざまな建物が連なる様子は、まるで小さな街のようです。
光原社のはじまりは、工芸品店ではなく出版社でした。店名は、宮沢賢治の生前唯一となった童話集『注文の多い料理店』を発行する際の縁で賢治が命名。レトロなたたずまいの建物のなかや中庭に立つと、賢治が書いた童話の世界に迷い込んだような気分になります。
真っ白な外観から店内へ足を踏み入れると、1階には全国からセレクトされた焼き物や漆器などがずらり。食器や箸といった日用品が多いので、ファミリーでおそろいのアイテムをそろえるのもいいかもしれません。
所狭しと並ぶ、ていねいな手仕事でつくりだされた品々から、お気に入りの一品を見つけましょう。なかには、和紙を使った工芸品や、光原社のうるし工房でつくられた漆器もあり、次々と目移りしてしまいそうです。
2階に上がると、世界中からセレクトされた家具や衣類、小物雑貨がいっぱい!童話集『注文の多い料理店』の名場面を切り取った、光原社オリジナルの絵はがきはおみやげにぴったりです。
中庭にたたずむこぢんまりとした喫茶店「可否館」に入ると、笑顔がステキなスタッフさんが迎えてくれます。ステンドグラスが飾られコーヒーの香りが漂う店内は、木造のクラシカルな雰囲気。民芸の家具と大きな窓から入るやわらかな光が、落ち着きのある穏やかな空間をつくりだしています。
ドリンクはハンドドリップで入れるコーヒーがメイン。お子さんはアップルジュースやミルクをどうぞ。スイーツは、ほろっとした口あたりでくるみの風味が豊かな「くるみクッキー」がオススメです。ほかにも大人な味わいの「ワインゼリー」や、コーヒーまたはカカオリキュールをかけていただく「アイスクリーム」もあります。
中庭から離れて、本館と道路を挟んだ向かいにあるのが光原社の別館「モーリオ」です。明るい店内には東北の食品や工芸品が並び、可否館で味わえるくるみクッキーも販売。盛岡にあるパンの名店が手ごねでつくる、しっかりとした弾力の食パンは、閉店を待たずに完売することもある人気商品です。
セレクトされた品々は、どれもシンプルながらも使い勝手のよいものばかり。岩手の伝統工芸「南部鉄器」でつくられた鳥のオーナメントは、思わず連れて帰りたくなるかわいらしさです。日用品のほか、宮沢賢治作品を題材にした木版カルタにも興味をそそられます。家でお子さんと一緒に楽しめそうですね。
童話のなかに迷い込んだ気持ちになれる、レトロでステキな工芸品店「光原社」。やさしい時間が流れる小さな街のようなお店に、ファミリーで訪れてみてください。
レトロで異国情緒たっぷりの中庭を楽しみましょう。中庭と外観のみ写真撮影ができます。
今では貴重な、宮沢賢治の童話集『注文の多い料理店』の初版本や、有名な詩『雨ニモマケズ』が書かれた手帳の復刻版が展示されています。
光原社が建つ材木町商店街を歩くと、宮沢賢治の像や童話に出てくる楽器などのモニュメントに出会えます。