「増田の朝市」が開催されるのは、毎月下1桁に2、5、9の付く日。朝7:00からお昼ごろまで開催されています。レトロな町屋づくりの建物に挟まれた約200メートルの通りに50軒ほどの店が並びます。
朝市の雰囲気はとてものんびりとしたもの。パラソルやビニールシートなどを使った簡易的な店のなかで、買い物客と店主が穏やかな秋田弁で世間話をする様子に心がなごみます。
店先には四季折々の野菜や山菜がずらり。なかには5月、6月に旬を迎える「八木にんにく」などのめずらしい伝統野菜もあります。にんにくを「生で味噌をつけて食べる」、そんな地元ならではの食べ方を教えてもらえるのも、店主との会話が楽しい朝市の魅力です。
青果のほかにも衣料品や海産物など、取り扱う商品は生活に密着したものがほとんど。地域の人々が日常使いする庶民的な朝市ですが、その由緒は正しく、370年以上前に佐竹藩の公認としてはじまったのだそう。武士の暮らしを支えていた当時に思いを馳せながらお店をのぞいても楽しいですね。
市が開かれ、物流の中心地としてにぎわいをみせた増田は、明治から昭和にかけて商業の街としてさらに発展。財を成した商人たちは蔵付きの家を建てるようになります。朝市を訪れた後は、そんな増田の商人たちの繁栄ぶりを垣間見られる内蔵(うちぐら)を見学しましょう。
内蔵とは、狭い間口から奥に長く続く町屋づくりの母屋の背面に、建屋に覆われて設けられた蔵のこと。商人たちは、築き上げた財力を示すように重厚な内蔵をつくりあげました。表通りからは想像できないような大きく立派な蔵が建物のなかにあるなんて驚きですね!
増田の商店街「中七日町通り」沿いには、内蔵のある伝統的な家屋が建ち並びます。ひとくちに内蔵といっても意匠を凝らした装飾など見どころはさまざま。現在公開されている家屋のほとんどが400メートルほどの通りに集中して建っているので、見て回りやすいのもうれしいポイントです。
内蔵を見学するなら、まずは観光物産センター「蔵の駅」に立ち寄りましょう。
中七日町通りの中心にある蔵の駅は、明治大正期の商家を利用した施設。その日に公開されている増田の内蔵や伝統家屋についての情報を知ることができるほか、施設内の内蔵を無料で公開しています。
施設内部を奥に進むと現れるのは、見上げるほどの高さの重々しい内蔵。漆塗りの扉を覆う繊細な鞘飾りの装飾が家人のこだわりを感じさせます。一般的な倉庫としての蔵とは異なり、内部は居住空間として快適にしつらえられていて、増田の内蔵が住居であり、商人の成功の証であったことがわかります。
増田の朝市を訪れたらあわせて立ち寄りたいオススメスポットが、増田の中心部から歩いて10分ほどの場所にある「横手市増田まんが美術館」です。
2年間の改修工事期間を経て、2019年5月1日にリニューアルオープンしたこの美術館。まんが原画の収蔵と保存に特化した国内でもめずらしい美術館で、20万点以上もの原画を収蔵し、有名作家の原画を間近に見ることができます。収蔵原画の作家数は世界一。まんが好きのファミリーはもちろん、最近まんがを読んでいない大人も、好きだった作家の原画を見つけて盛り上がれそうですね。
朝市や蔵めぐり、まんが美術館と多彩に楽しめる横手市増田町へ、家族でおでかけしてみませんか。
中七日町通りの入り口にある増田の町並み案内所「ほたる」の駐車場は、広々としてゆったりと駐車できます。また、おむつ替えスペースもあるので、小さいお子さんがいるファミリーも安心です。
蔵の駅の近くにあるコミュニティラウンジは、フリースペースがある公共施設。飲食可なのでお弁当持参のファミリーはぜひ利用してみてください。
内蔵のある家は、今も住居として利用されている家屋が多く休日などは流動的。蔵の駅や増田の町並み案内所「ほたる」で確認しましょう。小さなお子さんは見学OKかどうかなど、不安なことも案内所で聞いておくといいですよ。