「秋葉硝子」がある新潟県の新津地域は、全国有数の石油産出県として知られるほか、日本海側の鉄道の要としても栄えてきました。また、ガラスの一大産地としても全国にその名を知られていたといいます。当時は多くのガラス工場がありましたが、時代と共に減っていったそうです。
そんな地域で古くから続く秋葉硝子は、かつて新津地域がガラスの産地だったことを伝えるために、照井康一さんが休業したガラス工場の建物を引き継ぎ、2014年4月にスタートさせた工房です。
秋葉硝子で生産するガラスは、大量生産ではなく1つ1つ手づくりで制作。照井さんがつくりだすのは吹きガラスと呼ばれる作品で、1300℃の高熱で溶かしたガラスを吹き竿の先につけて、息を吹き込むことでふくらませて形をつくります。
日常の食卓に欠かせない、食器類を中心とした作品が多いのが特徴。1つずつ手づくりのため、手に取ってみるとあたたかさが伝わり、どの作品にもガラスの繊細な美しさが引きだされています。
照井康一さん
秋葉硝子では工房を見学することができます。作業風景はあまり公開されることはなく、間近で見学できるのはとても貴重なことなのだとか。
工房に入ると目に飛び込んでくるのが、大きなガラスの溶解炉。この炉は現在は使用していませんが、脇にある炉内では、1300℃まで熱されたガラスの原料がオレンジ色の光を放っていて、その熱さに思わずびっくりしてしまいます。
熱されたガラスの原料は、照井さんの手によってさまざまな作品に仕立てられていきます。その作業は真剣そのもの。貴重な機会だけに、見ているだけでも楽しめそうですね。
秋葉硝子では、予約をすれば吹きガラスの制作を体験できます。グラスや小鉢、花器などから好みの作品を1点つくることができます。
小学生以下のお子さんでも保護者同伴であれば体験できるそうなので、ママやパパと一緒にチャレンジしてみましょう。
ほかにはキルンワークの体験もできます。キルンワークとは、常温のガラスを組みあわせて電気炉電子炉であたため、形を変えたりつなげていく手法のこと。
つくりたいものによってどちらを体験するか選ぶことができるので、両方を組みあわせてつくってみては?
秋葉硝子の工房の一角には作品の販売スペースもあり、かわいらしいガラス作品がズラリと並んでいます。手づくりというと「お値段が張るのでは…?」と思われるかもしれませんが、リーズナブルに買える作品も多いんですよ。
おみやげやお祝いのギフトにもオススメなのが、照井さんのオリジナル「淡黄金(あわこがね)」というシリーズ。少し黄金色を帯びた作品は、ほかでは見ることができない風合いをだしていて、ガラスのもつ魅力が伝わってきます。
工房では年に数回イベントも開催。ジャズを中心にしたライブや、地元出身の音楽ユニットのコンサートなど、開催内容は毎回違うのだとか。
会場は、なんと作業場である工房!工場のなかにある大きな窯のまわりをステージに見たてて使用しているのだそう。コンサートホールとは違う雰囲気も魅力で、このライブを楽しみにするファンも多いんですよ。
休業したガラス工房を引き継いで誕生した、ガラス工房「秋葉硝子」。緑に囲まれた小さな工房でガラスの魅力を感じてみませんか。
工房があるのはのどかな里山で、このロケーションが工房の魅力。工房へ訪れて、実際の作業過程を間近で見学できる機会はなかなかありません。工房の制作風景を見ることで、ガラスがどのようにつくられるか詳しく学んでみましょう。
こちらではガラスの制作体験ができます。吹きガラスだけでなくキルンワークも体験できます。スタッフがわかりやすく説明してくれるのも安心です。親子で一緒にオリジナルの作品をつくってみませんか。
ショップではさまざまな作品を展示・販売しています。日常の食卓に彩りを添えるガラスの器や皿、酒器などのほかに、ギフトにもよろこばれる作品も多数ありますよ。