「みやぎの環境保全米」は、農薬や化学肥料の使用量を通常の半分以下にしてつくられています。農薬や化学肥料を減らしてお米をつくるには、種子を湯で丁寧に殺菌したり、苗を植える際に間隔を広げて植えたり、雑草や害虫をひんぱんに取り除いたりと、格段に手間がかかります。
農薬や化学肥料の量を減らすことで、稲が持つ「生きようとする力」が引き出され、田んぼのきれいな水と土を保ち、カエルなどの生き物の住む環境が少しずつ戻ってきます。それはかつての日本の農村で普通に見られた美しい風景です。
JAグループ宮城が2007年に環境保全米づくり全県運動をスタートしてから、各地で「みやぎの環境保全米」がつくられるようになっていきました。そうしたなか、田んぼに暮らす生き物調査を行なったところ、水や土がきれいになったことで、トンボ、カエル、メダカ、タニシ、ドジョウなど多くの生き物たちが田んぼに戻ってきていたのです。環境保全米づくりは着実に、環境改善に役立っています。
水田の豊かな生態系を守り、自然を豊かにしてくれる環境保全米は、生産者だけでは完結しません。このお米を消費者がたくさん食べ、支えることではじめて環境保全の循環が成り立つのです。2020年からは小学校・中学校向けの給食にも「みやぎの環境保全米」を供給するようになりました。
「みやぎの環境保全米」の普及促進のひとつとして、JAグループ宮城が力を入れているのが、学校給食を通じ、子どもたちに食べてもらうこと。「以前のお米よりおいしい」と、子どもたちの評判は上々です。子どもたちが環境保全米のおいしさを知り、それらがどうやってつくられ、環境にどう反映しているかを理解することはとても大切です。なぜならそれこそが未来へとつながっていくからです。
子どもたちの「おいしい」の声は、生産者にとってのよろこびであり励みになります。多くの手間がかかるうえに、通常に比べて収穫量が減ることもある環境保全米ですが、それでも生産者が米づくりに励むのは、子どもたちの笑顔があり、その先に豊かな自然が見えるからです。
現在、県内の約3割の田んぼでつくられている「みやぎの環境保全米」。私たちが環境保全米のおいしさを知り、たくさん食べる。これこそが苦労して環境保全米をつくる生産者の方々を力強く支えることになります。
「みやぎの環境保全米」は県内の生協、JA直売所などで販売しており、お米と安らぐ人の表情を重ね合わせたという黄緑色のマークが目印です。ぜひ一度そのおいしさを味わってみてください。
化学肥料や農薬の量を半分以下に減らした栽培の結果、イナゴやトンボ、アメンボ、ホタル、カエルなど10種類以上の生き物たちが増えました。
宮城県は米の作付面積で全国5位という“お米県”です。「ひとめぼれ」「ササニシキ」「だて正夢」などおいしい米の品種があります。